ムンバイ

インド西部、マハーラーシュトラ州の州都です。旧名ボンベイはポルトガル語のボン・バイア(良湾の意)に由来し、より古いインド地名のムンバイ(原住民のコーリー漁民が崇拝していたパールヴァティー女神の化身ムンバにちなみ)に、1995年改称されました。今はムンバイ港となっている大きな湾入と、それを取り巻く西ガーツ山脈直下の海岸平野としては大きな平野をもち、さらにガーツ山脈中の背後の鞍部を通る交通路によりデカン高原と北インドと結ばれています。
ここに都市がつくられたのは16世紀になってから。1534年にポルトガルがアフマド・シャーヒー朝のスルターンであったバハードゥル・シャーからここを取得したのに始まり、ポルトガルはここに要塞と教会を建て、ゴアの補助港としました。1661年にポルトガル王妹カタリーナがイギリス王チャールズ2世に嫁いだとき、当地は贈り物としてイギリスに委譲されました。68年にはイギリス東インド会社に年10ポンドで貸与され、会社は当地をスーラト商館の管轄下に置き、城塞の建設と来住者への交易および信仰の自由の保障などを行いました。

インド門

イギリス王ジョージ５世の来印を記念して1911年に建てられました。また、インド門の北東海上にはヒンドゥー教石窟で知られるエレファンタ島が位置しています。

タージ・マハール・ホテル

インドの大企業タタ・グループの創始者でもあるジャムセット・タタは、ムンバイの当時最大で豪華なホテルだったワトソンズ・ホテルに入ろうとして白人専用だったため宿泊を断られました。これに激怒したタタ氏は、もっと豪華で最大級のホテルをインド人だけで、インド人の力で建設しようとし、現在では世界の政治家・王侯貴族・有名人らが宿泊するホテルとなりました。

マニ・バワン(ガンディー博物館)

インド独立の父マハートマー・ガンディーが、1971～1934年にムンバイで滞在していた個人宅です。ガンディーの遺品や写真等が保存されています。ガンディーの著作や関連書籍などもあります。

コラバ

インド門やタージ・マハル・ホテル等があるコラバ地区。人気のカフェや外国人が気軽に入れるレストランやお土産ショップも充実しているので、散策するのに楽しいエリアです。

アウランガーバード

インド西部、マハーラーシュトラ州中部の都市です。ムガル帝国第6代皇帝アウラングセーブの名にちなみ都市名がつけられました。アジャンターおよびエローラ石窟への観光地として知られています。

アジャンター石窟寺院群

UNESCO世界遺産

造営は前1世紀に始まり2世紀に中断された後、5世紀末期に再開され7世紀まで続きました。紀元前後の第１期窟は構造も簡素で彫刻による装飾もほとんどありませんが、第9，10窟側壁の壁画は仏教絵画最古の遺品です。5世紀末期から7世紀の第2期には、石窟の構造が整備され、彫刻や壁画によって華麗に飾られるようになりました。主題は仏や菩薩などの尊像画と本生譚(ジャータカ)、仏伝、譬喩説話(アヴァダーナ)などの説話画とに大まかに分類し説話画が圧倒的に多いです。また天井には動植物を主とした装飾文様が描かれています。
6世紀初期と考えられる第1窟の壁画は、華やかな彩色と優れた技法になり、アジャンター壁画の頂点に立つほどです。奥壁の仏堂左右に1本ずつ描かれている蓮の華を持つ菩薩は特に有名です。アジャンター壁画は、まとまった形で現存するインド唯一の例であり、しかもインド古典文化の絶頂期に描かれたもので、仏教絵画の源流としてきわめて貴重です。

エローラ

インドの西部、マハーラーシュトラ州のアウランガーバード北西約25kmのウェールレー村の東のなだらかな丘の西麓に、約2kmにわたって仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の石窟が並ぶインドの代表的遺跡です。

エローラ石窟寺院群

UNESCO世界遺産

34石窟があり、南端の第1～12窟が仏教窟で7～8世紀のものであり、第10祠堂窟の外観は僧院窟に近くなり、内部の仏塔(ストゥーパ)は前面に大きな仏像を刻んでいます。僧院窟では房室が少なくなり、第2窟や3層になる第11，12窟は仏殿としての性格が強く、末期の様相を示しています。第5窟は、細長い広間の床面に2筋のベンチ状のものを掘り残していて、講堂であったとも推測されます。随所に多臂像や女性像など密教系尊像が見られるのも、末期の仏教窟の特徴です。第13～29窟および丘の上の番号のない20以上の小窟は、ヒンドゥー教窟で主要なものは7～9世紀小窟はさらに後の開掘です。その中心の第16窟のカイラーサナータ寺はパッタガルのヴィルーパークシャ寺を模したラーシュトラクータ朝盛期(8～9世紀)の岩石寺院で、幅45m強、奥行き85m弱にわたって岩山を削り取り、楼門、ナンディン牛堂、前殿、本殿(高さ約30m)を掘り出し、しかも周囲の岩壁に回廊や付属の石窟を掘っていて、その規模の点でも彫刻の作柄の点でも他に比類がない。
このほかでは簡素な第14窟、重層の第15窟、壮麗な第21窟、広大な第29などが重要なものです。
北端の第30～34窟は8～10世紀のジャイナ教窟で、第32窟が最も出来が良いが彫刻は全般に生硬さが目立ちます。なおカイラーサナータ寺の前殿天井、第32窟上階天井、滝の上の小窟などには壁画も残っています。これらの石窟を飾る彫刻は、グプタ朝後期の作風を保ちつつ、チャールキヤ、パッラヴァ両朝の影響を強く受けたヒンドゥー教美術の最高傑作です。