アーユルヴェーダの「アーユル」は生命、寿命、長寿を「ヴェーダ」は学問、知識、科学を意味します。世界3大伝統医学の一つで、5000年以上前から今までほぼ完全な形で伝達されてきました。その素晴らしさは、時代を超越していること、現代でも何世紀も前と同じように日常生活のあらゆる面に応用できること、の2点において特に評価されています。

アーユルヴェーダはヨガと同じくらい日本において認知度が高まってきました。高齢者の増加による変性疾患の増加にも、かたや若い人達のストレス関連の病気の増加などにもアーユルヴェーダの予防法や治療法が役立つことが知られてきたからでしょう。また、死に行く人々への癒しの技術だけではなく、赤ちゃんへの愛情の伝達手段としても、アーユルヴェーダのオイルマッサージは大いに役立つものです。

アーユルヴェーダはインドの伝統的な治療法で、総合的な医療システムとしては、世界でもっとも古いと考えられています。アーユルヴェーダは医学、心理学、錬金術、霊的理解はもとより、占星術、天文学にまで及びます。

アーユルヴェーダの根幹には、全ての物事が１つであること、つまりすべての物事には関連性があり、分離しているわけではない、という考え方があります。体は心に影響を与え、逆に心は体に影響を与えます。感情と思考は体に影響を与えます。それは体の病気が精神状態に影響を与えるのと同じです。
アーユルヴェーダは、人間の体、心、魂に関する永遠の真理への深い理解に基づいた古代哲学です。

アーユルヴェーダではこの宇宙は「空,風,火,水,地」の５元素から構成されているとされ、小宇宙である人体もそれらの組み合わせからできているとしています。そして、私たちの体を動かしているのは、５元素をもとにした３つの生命エネルギー(トリ・ドーシャ)であり、これらのバランスが取れているとき、私たちは健康でいられると説明しています。

サンスクリット語でトリは「３」ドーシャは「生命エネルギー」を意味します。すなわち３つの生命エネルギーはヴァータ・ピッタ・カパのサイクルでできています。ピッタは「火」カパは「水」ヴァータは「風」。
病気はトリドーシャの平衡が崩れることからで、治療の根本は平衡を取り戻し、7つの組織を正常に機能させることです。したがってインド医学の特徴は消化器系中心であるともいえるのです。

アーユルヴェーダでは、パンチャカルマと呼ばれる5つの療法が重要なのです。催吐法、催下法、油性灌腸法、非油性灌腸法、頭部洗浄法の5つで、これらはすべて体内で汚染物質となったドーシャを除去するための浄化法とされています。

近年、アーユルヴェーダは日本や西洋の医学者からますます注目されるようになっています。世界保健機構(WHO)は発展途上国でアーユルヴェーダを推進することを決議しています。このように西洋において、日を増すごとに人気が高まっているのは、アーユルヴェーダが病気の予防や治療だけではなく、健康を保つ方法と、体が不調の時にどうやってバランスを取り戻せばよいかを教えてくれるからです。またより良い健康的な生き方を薦めながら、人の在り方つまり心、体、魂のあらゆる面に影響を与える、非常に価値のあるものだという認識が、人々の間で深まっているからです。